ごあいさつ
研究本部長
根本 孝七
国際情勢の変化に伴うエネルギーセキュリティの確保が世界的な課題となる中、あらためてS+3E※の重要性が高まっています。このうち、環境適合、主としてカーボンニュートラル(CN)実現には、エネルギー需要側の電化と電源の脱炭素化を同時に進める必要があります。また、これらを支える電力システムは、電力設備を主体とするグリッドインフラ層と、デジタルデータを活用するサイバー層等からなる多層・多機能な産業構造体への進化が求められています。グリッドインフラ層では再エネの主力電源化や分散型エネルギー資源(DER)活用、サイバー層では電力インフラ等から得られるビッグデータの活用など、さらに、需要側のプロシューマ化により電力需給バランスがより柔軟に調整できる可能性も生まれ、様々なイノベーションが期待されます。社会のニーズと期待に応じて、電力システムもまた、百年に一度の大変革の時代を迎えています。
グリッドイノベーション研究本部(GI)は、グリッド技術や電気利用技術の面からS+3E※を支えることを使命とします。松永安左エ門翁の言「産業研究は知徳の錬磨であり、以って社会に貢献すべきである」の理念のもと、電力の安定的・経済的供給とエネルギー利用の効率化に貢献できれば幸甚です。
※我国のエネルギー政策はS+3Eを、基本方針として、安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成するべく、取組を進めています。
ミッション
電気工学、情報通信等の基盤技術を活用し、再生可能エネルギーの導入拡大と安定供給確保を両立するため、新たな広域系統や地域エネルギー需給基盤の構築、それらのベースとなる電力流通設備のアセットマネジメント技術の研究開発を推進します。
加えて、需要側調整力の拡大にも資する、産業・運輸・家庭における電化やその促進に寄与する研究開発他を推進します。